アオリイカの活性は潮の動きに大きく左右されます。潮を理解し、その日の状況に合わせた戦略を立てるだけで、釣果は劇的に変わります。
この記事では、「エギング修行ノート」として、大潮・中潮といった各潮の特徴から、タイドグラフの具体的な狙い目、季節ごとの攻略法まで、あなたのエギングレベルを一段階引き上げるための「潮の全て」を徹底解説します!
エギングの基本!潮回りのサイクルとは?
潮は、月と太陽の引力、そして地球の自転が組み合わさって起こる海の満ち引き現象です。この潮位の変化の大きさによって、潮回りは約15日間のサイクルで規則的に変化します。
このサイクルを理解することが、イカの行動パターンを予測する第一歩です。
潮のサイクル:大潮
→ 中潮(下げ中潮)
→ 小潮
→ 長潮
→ 若潮
→ 中潮(上げ中潮)
→ 大潮
この順番で回っていくんですね!
【完全攻略】各潮の特徴とエギング戦略
それでは、それぞれの潮の特徴を詳しく見ていきましょう。各潮のメリット・デメリットを把握し、最適な戦略を立てることが釣果アップの鍵です。
大潮(おおしお):ハイリスク・ハイリターンの爆釣チャンス
月と太陽の引力が重なる新月・満月の頃に発生。干満差が最も大きく、潮の流れが非常に速くなるのが特徴です。海の活性が全体的に高まり、アオリイカの捕食スイッチも入りやすくなります。
新月の大潮 vs 満月の大潮
- 新月の大潮(闇夜):月明かりがないため、警戒心の強い大型イカがシャロー(浅場)に差してきやすいタイミング。ランカーサイズを狙うなら絶好のチャンスです。新たな群れの回遊も期待できます。
- 満月の大潮(月夜):月明かりで海中が明るく、イカがベイトを視認しやすくなるためナイトゲームが有利に。ただし、釣り人の影もイカに見えやすくなるため注意が必要です。
大潮の攻略ポイント
- メリット:新しい群れが接岸しやすく、高活性なイカに出会える確率が最も高い。
- デメリット:潮が速すぎてエギの操作が難しく、時合いが短いことがある。
- 狙い所:潮が直接当たる場所ではなく、堤防の陰やワンド、シモリの裏など、流れが緩む「ヨレ」を探すのが最重要。
- 狙いの時間帯:「潮止まり前後」と、潮が最も動く「上げ三分・下げ七分」。朝夕マヅメと重なればゴールデンタイムに!
中潮(なかしお):最も安定して釣れる王道の潮
大潮の次に干満差が大きく、潮も適度に流れるため、多くのエギンガーが「最も釣りやすい」と感じる潮回りです。イカの活性も高く、エギの操作性も良いため、一日を通して安定した釣果が期待できます。
大潮「後」の中潮 vs 大潮「前」の中潮
- 大潮後の中潮(下げ中潮):大潮で接岸した群れがまだ残っていることが多く、良型の数釣りが期待できる絶好機。大潮の激流が少し落ち着き、非常に釣りやすいです。
- 大潮前の中潮(上げ中潮):次の大潮に向けて潮がどんどん活発になっていくタイミング。イカの活性も日に日に高まっていきます。
中潮の攻略ポイント
- メリット:適度な潮流で釣りがしやすく、イカの活性も高い状態が長く続く。初心者にもおすすめ。
- デメリット:特に大きなデメリットはないが、人気ポイントは混雑しやすい。
- 狙い所:活性の高いイカを探して広範囲をテンポよく探る「ランガン」スタイルに最適。
- 狙いの時間帯:大潮と同様、潮が動く時間帯全般が狙い目。特に潮止まり前後は鉄板。
小潮(こしお):テクニックで差がつく玄人好みの潮
干満差が小さく、潮の流れが緩やかになる潮回り。「釣れない潮」と言われがちですが、攻め方次第では十分に釣果を出すことが可能です。
小潮の攻略ポイント
- メリット:エギの操作がしやすく、普段は流れが速すぎて攻められない一級ポイントを狙える。
- デメリット:潮の動きが少ないためイカの活性は低め。回遊待ちより「居着き」狙いがメインになる。
- 狙い所:活性の低いイカはボトム(海底)から離れにくい。エギをしっかり沈め、ボトム周辺をネチネチと丁寧に探るのが有効。
- 狙いの時間帯:潮の恩恵が少ない分、朝・夕マヅメのパワーを最大限に活用する。
長潮(ながしお):最も厳しいが、穴場を攻めるチャンス
干満差が最もなく、潮がほとんど動かないように感じる日。一般的には最も釣りにくいとされますが、この日だからこそできる釣りがあります。
長潮の攻略ポイント
- メリット:普段は激流で釣りにならない海峡部や水道などのポイントを攻められる。釣り人が少なくプレッシャーがない。
- デメリット:イカの活性は最低レベル。回遊はほぼ期待できない。
- 狙い所:潮通しの良い岬の先端など、少しでも変化のある場所をランガンで探る。
- 狙いの時間帯:マヅメ時の一瞬の時合いに全てを賭ける。
若潮(わかしお):復活の兆し!期待感が膨らむ潮
長潮の底を抜け、再び大潮に向かって潮が動き始める「若返りの潮」。潮の動き出しと共に、イカの活性も上向き始めます。
若潮の攻略ポイント
- メリット:長潮に比べてイカの捕食スイッチが入りやすくなる。特に午後の上げ潮から期待値が上がる。
- デメリット:午前中はまだ潮が緩慢なことが多い。
- 狙い所:潮が動き始める変化のタイミングを見逃さない。
- 狙いの時間帯:夕マヅメが最も期待できる。午後の上げ潮と重なればチャンス大。
【シーズン別】潮回りの活かし方とエギング戦略
潮回りの知識に加えて、季節ごとのアオリイカの生態を理解することで、より戦略的な釣りが可能になります。
季節 | イカの生態と特徴 | 潮回りの活かし方 |
---|---|---|
春 | 大型産卵シーズン。3kg超の親イカが藻場へ接岸。一発大物狙いの季節。 | 大潮・中潮が絶対有利。パワフルな潮に乗って親イカが接岸。満潮前後の潮が緩むタイミングで、産卵場所となる藻場周辺をスローに攻める。 |
夏 | 高水温期。オフシーズンと思われがちだが、深場や潮通しの良い場所には良型が残る。 | 潮回りよりも水温の安定と涼しい時間帯(朝マヅメ、夜間)が重要。潮が動くタイミングで、少しでも水温が低いエリアを狙う。 |
秋 | 数釣りシーズン。好奇心旺盛な新子がたくさん釣れる。エギング入門に最適。 | どの潮でも楽しめる。特に中潮は高活性なイカが広範囲に散らばるため、ランガンで効率よく数を伸ばせる。 |
冬 | 低水温期・越冬シーズン。水温の安定した深場へ移動。釣れれば良型。 | 潮が動かないと水温が低下するため、大潮・中潮で少しでも流れがある状況が望ましい。深場をじっくりと、繊細なアタリを取る釣りが中心。 |
まとめ:潮を味方につけて釣果を伸ばそう!
潮の知識は、エギングにおける強力な武器になります。しかし、最も重要なのは、タイドグラフの情報だけを鵜呑みにせず、実際のフィールドで海を観察することです。
【釣果アップへの最終チェックポイント】
- 地形と風を考慮する:タイドグラフの予測と実際の流れは、地形や風で変わる。
- 「潮目」を探す:流れがぶつかる潮目はベイトが集まる一級ポイント!見つけたら最優先で狙う。
- 経験を蓄積する:「この場所はこの潮で釣れる」という自分だけのデータを蓄積することが最強の武器になる。
潮を読み、イカの気持ちになってポイントを選ぶ。この思考プロセスこそがエギングの醍醐味です。
ぜひ、次の釣行から潮を意識して、あなた自身の「エギング修行ノート」に新たな1ページを刻んでください!
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